「良好胚なのに着床しない」
「何度移植しても結果が出ない」
こうしたケースで、近年よく提案されるようになってきたのが
ERA・EMMA・ALICE(いわゆるトリオ検査)です。
これらは、
- 着床の“タイミング”
- 子宮内の“菌環境”
という、これまで見えにくかった部分を評価する検査です。
子宮鏡などの構造検査で異常がなくても、
内膜の状態や微細な環境が原因で着床がうまくいかないケースは少なくありません。
ERAとは?(着床のタイミングを見る検査)
ERA(Endometrial Receptivity Analysis)は、
👉 あなた自身の「着床の窓(WOI)」がいつ開くのか
を調べる検査です。
通常、胚移植は
「排卵○日後」
「ホルモン補充○日目」
といった“平均的なタイミング”で行われます。
しかし実際には、
- 着床の窓が早い人
- 遅い人
が一定数存在します。
ERAでは子宮内膜の遺伝子発現を解析し、
✔ 今は着床に適した状態か
✔ 何時間ずらすとよいか
を個別に割り出します。
つまり、
「みんなと同じ移植日が合わない人」を見つける検査
です。
EMMAとは?(子宮内フローラ=菌環境を見る検査)
EMMA(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)は、
子宮内に存在する細菌のバランスを調べる検査です。
特に重要とされているのが
ラクトバチルス(乳酸菌)。
この菌が優位な状態が、着床に適した環境と考えられています。
EMMAでは、
- ラクトバチルスがどのくらい占めているか
- 炎症を起こしやすい菌が増えていないか
を詳しく解析します。
ラクトバチルス90%以上で妊娠率・出生率が大きく違った報告
スペインの研究では、
子宮内膜内のラクトバチルスが
90%以上の群と90%未満の群で、
体外受精後の
- 妊娠率
- 妊娠継続率
- 生児獲得率
に明らかな差が出たと報告されています。
ラクトバチルスが90%以上の群では、
✔ 妊娠率が高く
✔ 妊娠が継続しやすく
✔ 出生率も高い
一方で、90%未満の群では、
妊娠・出産に至る割合が大きく低下していました。
この結果は、
「胚の質だけでなく、子宮内の菌環境が着床とその後の妊娠経過に深く関わっている」
ことを示しています。
EMMA検査が近年広く使われるようになった背景には、
こうしたデータの存在があります。
ALICEとは?(慢性子宮内膜炎の原因菌を調べる)
ALICE(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)は、
慢性子宮内膜炎の原因となりやすい菌を特定する検査です。
CD138検査が
👉 炎症が「あるかどうか」
を見るのに対し、
ALICEは
👉 「どの菌が関与していそうか」
まで踏み込みます。
必要に応じて抗生剤治療につなげる目的で行われます。
「異常なし」でも終わりではない
トリオ検査で
「問題ありません」
と言われることもあります。
これは、
👉 着床タイミングや菌環境に大きな乱れがない
という意味で、
それでも着床しない場合は、
- Th1/Th2などの免疫バランス
- NK細胞
- 抗リン脂質抗体
- 血流や自律神経の影響
といった、別の要素が関与している可能性も出てきます。
検査はあくまで
可能性を一つずつ減らしていくためのプロセスです。
まとめ
- ERA:着床のタイミングを見る
- EMMA:子宮内の菌バランスを見る
- ALICE:慢性子宮内膜炎の原因菌を調べる
これらは、
「子宮の形」ではなく
“内膜の質と環境”
を評価する検査です。
良好胚でも結果が出ない場合、
次の選択肢として知っておく価値のある検査といえます。
良好胚でも着床しない場合、原因はひとつではありません。構造・免疫・内膜環境などを全体的に整理した記事はこちらです。
👉 良好胚なのに着床しない体にできることはある?

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