体外受精や顕微授精で良好胚ができているのに、思うように着床しない。
そんなとき、
「もう全部調べた気がする」
「次は何を検査するんだろう」
と感じる方も多いと思います。
実際、着床に関わる検査はひとつではなく、
多くのクリニックでは段階的かつ並行的に評価されていきます。
この記事では、現場でよく行われている流れに沿って
「着床しないときに検討される検査」を整理します。
※施設や症例によって順番は前後します。あくまで“一般的な流れ”としてご覧ください。
STEP1|まず基本条件(周期・卵巣・内膜の土台)
最初に確認されるのは、いわゆる「着床の前提条件」です。
主に以下のようなホルモン・内分泌系が評価されます。
- FSH / LH
- AMH
- E2(エストラジオール)
- P4(プロゲステロン)
- PRL(プロラクチン)
- TSH / FT4(甲状腺機能)
- 必要に応じてアンドロゲン系
あわせて、
- 子宮内膜の厚さ
- 内膜パターン
- 排卵の有無
- 黄体補充への反応
といった周期の質も確認されます。
ここでホルモンバランスや内膜の反応に問題があれば、
まずはこの段階で調整が入ります。
意外と、この“土台”の見直しだけで結果につながる方も少なくありません。
👉 ホルモン検査で何を見る?FSH・LH・AMH・甲状腺まで解説
STEP2|子宮・卵管など構造のチェック(比較的初期)
基本条件が整ってきた段階で、
次に行われることが多いのが子宮内や卵管の構造評価です。
- 子宮鏡
- 卵管造影
- 通水検査
- 経腟エコー
- 必要に応じてMRI
ここでは、
- ポリープ
- 癒着
- 内膜の荒れ
- 卵管水腫
- 筋腫や腺筋症の位置
など、物理的に着床を妨げる要因を確認します。
ERAなどの高度な検査に進む前に、
まずここを整えるケースはとても多いです。
👉 子宮鏡・卵管造影・通水検査とは?着床前に確認される構造チェック
STEP3|採血で見る“全身側”(免疫・凝固・栄養状態など)
構造面に大きな問題が見られない場合、
次に行われることが多いのが採血による全身評価です。
ここでは子宮だけでなく、
「体全体の着床環境」を見ていきます。
免疫バランス
- NK細胞
- Th1 / Th2
- サイトカイン関連検査 など
👉 NK細胞が高いと言われたときに知っておきたいこと
👉 Th1/Th2とは?免疫バランスと着床の関係
自己抗体(いわゆるセルフ抗体)
- 抗リン脂質抗体
- 抗核抗体
- 甲状腺自己抗体
- 抗精子抗体
これらは血流や着床環境に影響する可能性があるため、
必要に応じてアスピリンやヘパリンなどの治療が併用されるケースもあります。
凝固系
- Dダイマー
- Protein C / S
- AT-III など
栄養・代謝関連
- ビタミンD
- フェリチン(鉄の貯蔵量)
- HbA1c / 空腹時血糖
- 必要に応じてB12・葉酸
このSTEP3の特徴は、
✔ 採血だけで評価できる
✔ 身体的負担が少ない
✔ 薬やサプリで比較的早く介入できる
という点です。
そのため、ERAなどの機能検査より先に行われることも少なくありません。
STEP4|内膜の“機能”を見る検査
ここまで整えても結果が出ない場合、
内膜の働きそのものを評価する検査が検討されます。
- ERA(着床の窓)
- EMMA(子宮内細菌叢)
- ALICE(慢性細菌感染)
良好胚で、内膜厚や構造にも問題がなく、
免疫や採血項目もある程度調整された方が対象になることが多く、
いわば“後半戦”の検査です。
👉 ERA・EMMA・ALICEとは?着床タイミングと菌環境の検査
STEP5|精密領域
それでも着床しない場合、
さらに細かい領域が検討されます。
ここには、
- CD138(慢性子宮内膜炎)
- KIR / HLA-C
- より詳細な免疫プロファイル
- サイトカイン拡張検査 など
複数の検査が含まれます。
実際には、免疫・炎症・遺伝的相性など、
複数の要素を並行して評価していくケースもあります。
医療と生活は“並走”
検査で異常が見つかった場合は、
抗生剤や免疫調整薬などの医療的対応が中心になります。
そのうえで、
- 睡眠
- 冷え
- 日常の緊張
といった体の土台を整えることは、
治療の代わりではなく補助線として考えるのが現実的です。
まとめ
着床しないときの検査は、
- ホルモン・内膜など基本条件
- 子宮や卵管の構造
- 採血で見る免疫・自己抗体・栄養状態
- 内膜機能(ERA・菌叢)
- 精密領域(CD138など)
という形で、段階的かつ並行的に進んでいくことが多いです。
「今、自分はどの段階にいるのか」
を整理するだけでも、
次の一歩が見えやすくなります。

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